14日
母さん、母さん、母さん
三回口にだしてみたら意外にもへどが出た
15日
海の涙がまるで塩辛い
夕飯にはマアジを二匹
16日
夜は人魚を見つけた
儀式的な歌を喉をつぶしながら歌っていた
17日
帰りたい
18日
死にたい
母さん、母さん、母さん
三回口にだしてみたら意外にもへどが出た
15日
海の涙がまるで塩辛い
夕飯にはマアジを二匹
16日
夜は人魚を見つけた
儀式的な歌を喉をつぶしながら歌っていた
17日
帰りたい
18日
死にたい
北風が語りかけてくる言葉は
まるで不可解で
私は太陽をやぶり捨てた
よるがきた
よるがきた
誰しも一人になりたくないから
よるがきた
よるがきた
しずかにお別れしましょうか
まるで不可解で
私は太陽をやぶり捨てた
よるがきた
よるがきた
誰しも一人になりたくないから
よるがきた
よるがきた
しずかにお別れしましょうか
(
2010/02/04)
深夜64時
明日の服を決めた
君の名前を知った
足の骨を砕いた
母さんの鱗を剥いだ
湯たんぽにお湯をいれた
布団に血を零した
君の名前を呼んだ
父さんの羽を食べた
僕は宇宙人になって
あなたとの会話は弾まない
文字と数字の羅列だけが
僕らのコミュニティ
ただ目があったら笑うように
インプット
目をつむった
夢をみた
僕がいた
朝になった
君の名前を知った
足の骨を砕いた
母さんの鱗を剥いだ
湯たんぽにお湯をいれた
布団に血を零した
君の名前を呼んだ
父さんの羽を食べた
僕は宇宙人になって
あなたとの会話は弾まない
文字と数字の羅列だけが
僕らのコミュニティ
ただ目があったら笑うように
インプット
目をつむった
夢をみた
僕がいた
朝になった
(
2010/01/29)
最終話
ぼうっとしていたら、指を切ってしまった。不意の出来事だった。
自分を傷付けたのはいつぶりだろうか、なんてことを考えた。
確かに、僕の手首には無数の傷がある。それは自らの過失だ。
あの頃の自分が間違っていたとは言わない。
今だってそう遠くないところに立っているはずだ。
環境はちがえど僕は僕で、いつ何時も僕は僕でしかありえない。
ふ、と勝手に笑いが漏れた。
色んな未来があったはずで、僕は今という未来に立っている。
僕らの親から見ればまだ僕やイズミはヒヨッコだろう、
なのにもう数年前の自分の気持ちや出来事を鮮明には思い出せない。
いくつも重ねてきた気持ちは、すべてどこかにいってしまった。
確かにここにあるはずなのに、ここにない。ばかみたいなもの。
切り傷から垂れる血ごと指を口に含んだ。ふ、とまた笑えた。
あの頃は僕は、自らの血をこんなに愛しいと思ったことはなかった。
ただ汚らわしいとだけ、苦しいとだけ、思っていたのに。
「ただいま、え、なに」
指をくわえる僕を見て、イズミはかばんを放って近づいてきた。
そのまま僕を抱きしめる。
「イズミこそ、何」
「わかんない、なんかぎゅっとしたくなった。指?」
「切っちゃった」
彼は僕をいったん離し、じっと顔を見つめてきた。
化粧をしていない顔をあまり見てほしくはない。
お互い、セックスをするときだってこんなに見つめ合うこともないだろうに。
「ハル、俺、」
「何」
なんとなく言いたいことはわかった気がした。
だから黙って彼の胸に顔を押し付けた。
口の中で指がふやけてきている。血の味はもうしない。
そもそも最初から血の味なんかしなかった気もする。
イズミの腕に力が入る。かすかに震えているようにも思える。
僕たちはそのままキスをして、ベッドに流れて最後のセックスをした。
朝起きるともうイズミはいなくて、ただ清い空気が部屋に溢れていた。
昨日の温もりや声や、今までの絶望や期待や安堵や不安が、
イズミに出会ったとき、話したとき、キスしたとき、抱かれたとき
そうしたものが全部、走馬灯のように駆け巡ることなく、
僕の中の思い出も感情も、静かに静かに溶けていく気がした。
意味のあることは一つもない。
けれども
意味のないことも一つもない。
すべて、愛しかった。
自分を傷付けたのはいつぶりだろうか、なんてことを考えた。
確かに、僕の手首には無数の傷がある。それは自らの過失だ。
あの頃の自分が間違っていたとは言わない。
今だってそう遠くないところに立っているはずだ。
環境はちがえど僕は僕で、いつ何時も僕は僕でしかありえない。
ふ、と勝手に笑いが漏れた。
色んな未来があったはずで、僕は今という未来に立っている。
僕らの親から見ればまだ僕やイズミはヒヨッコだろう、
なのにもう数年前の自分の気持ちや出来事を鮮明には思い出せない。
いくつも重ねてきた気持ちは、すべてどこかにいってしまった。
確かにここにあるはずなのに、ここにない。ばかみたいなもの。
切り傷から垂れる血ごと指を口に含んだ。ふ、とまた笑えた。
あの頃は僕は、自らの血をこんなに愛しいと思ったことはなかった。
ただ汚らわしいとだけ、苦しいとだけ、思っていたのに。
「ただいま、え、なに」
指をくわえる僕を見て、イズミはかばんを放って近づいてきた。
そのまま僕を抱きしめる。
「イズミこそ、何」
「わかんない、なんかぎゅっとしたくなった。指?」
「切っちゃった」
彼は僕をいったん離し、じっと顔を見つめてきた。
化粧をしていない顔をあまり見てほしくはない。
お互い、セックスをするときだってこんなに見つめ合うこともないだろうに。
「ハル、俺、」
「何」
なんとなく言いたいことはわかった気がした。
だから黙って彼の胸に顔を押し付けた。
口の中で指がふやけてきている。血の味はもうしない。
そもそも最初から血の味なんかしなかった気もする。
イズミの腕に力が入る。かすかに震えているようにも思える。
僕たちはそのままキスをして、ベッドに流れて最後のセックスをした。
朝起きるともうイズミはいなくて、ただ清い空気が部屋に溢れていた。
昨日の温もりや声や、今までの絶望や期待や安堵や不安が、
イズミに出会ったとき、話したとき、キスしたとき、抱かれたとき
そうしたものが全部、走馬灯のように駆け巡ることなく、
僕の中の思い出も感情も、静かに静かに溶けていく気がした。
意味のあることは一つもない。
けれども
意味のないことも一つもない。
すべて、愛しかった。